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私はこれまでにグループ展にだけ参加してきました。何か明確なポリシーがあったわけではありません。逆に、ポリシーが固まらなかったから、この年齢になるまで個展ができなかったのではないかと今は思っています。 様々なことに迷いながら、作ることだけはやめなかった結果、家の中には溢れんばかりの作品が…。ある日、小学生の甥っ子に、「みんなに見せてあげないといけんよー。作品なんだから。」と言われてはっとしました。 |
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学生時代に作り始めたミニチュアやお人形、カワイイ!が好きで、アニメが好きで。そして、そんな自分自身を隠し続けて。ずっと、子供の頃から培ったものに背を向けていたのです。そのことに気付いて納得するまで。……10年ほどかかってしまいました。 |
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さぁ、展覧会をやってみよう!そう思った時にはもう29歳でした。持病に蝕まれた身体は、自由と遠いところにありました。絶望する日々を”作る私”が助け続けて。いつしか身体は器でしかないと思うようになっていました。そしてその器にたっぷりの精神が入っているのだと。 しかし……たった一日の展覧会にどれくらいの人が集まるというのだろうか。迷う私に父が言いました。「お葬式だっていきなり一日だけなのに、なんとか都合つけてみんな集まるだろ。」父は僧侶です。いつもそう、家族の言葉に助けられて私は生きている。 |
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ただ一つの平等が、いつかみんな必ず死ぬことだなんて悲し過ぎる。だから作るんだ! 地球が丸いという不幸。絶望するだけなんて意味がない。だから作るんだ! 世界にとってまめつぶみたいに小さな存在だけど、ここに命がある限り、作り続けたい。 |
今回の展覧会の副題です。これは、アニメーション作品「楽園の未」が完成するまでの軌跡を見せる展覧会であったと同時に、その間、私が子を産み、母になったことも示しています。母と子をテーマにした「楽園の未」という作品は、私の人生の経験を通して完成に辿り着こうとしています。 展覧会を経て 展覧会は私に、歴代の友人たちや先生方との再会をもたらしてくれました。まるで同窓会のよう。私の作品に囲まれた友人たちが、またそこから繋がっていく様が見えます。いつか私がいなくなった後も、こうしてみんなが繋がっていてくれたらいいな。それが本望です。 私の制作活動はいつでもやめられます。誰に迷惑をかけることもなく。まるで私の命のようです。いつでもひっそりやめられるんだから、続けよう。今日を生きようと思うのでした。 |